「そろそろ外壁塗装を考えないと…でも、どんな塗料を選べばいいんだろう?」
「よく聞くシリコン塗料って、実際どうなの?費用は?長持ちする?」
大切なお住まいのメンテナンスである外壁塗装。塗料選びは、その後の住まいの寿命や美観、そして費用にも大きく関わる重要なポイントです。中でも「シリコン塗料」は、多くの塗装業者で推奨され、実際に選ばれることも多い人気の塗料です。
しかし、なぜ人気なのか、具体的にどんなメリット・デメリットがあるのか、費用はどれくらいかかるのか、詳しく知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、外壁塗装で定番とも言えるシリコン塗料について、その基本的な特徴から、気になるメリット・デメリット、費用相場、そして後悔しないための選び方まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
目次
1. シリコン塗料とは?まずは基本を理解しよう

シリコン塗料がなぜ多くの外壁塗装で選ばれているのか、その理由を探るために、まずは基本的な特徴やメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
1-1. シリコン塗料ってどんな塗料?
「シリコン塗料」とは、その名の通り、主成分にシリコン樹脂を使用した塗料のことを指します。外壁塗装に使われる塗料には、アクリル、ウレタン、フッ素、無機など様々な種類がありますが、シリコン塗料はその中でも「価格」「耐久性」「機能性」のバランスが非常に良いことから、現在の日本の戸建て住宅の外壁塗装において、最もスタンダードな塗料として広く普及しています。
多くの塗装業者が標準プランとして提案していることが多く、豊富な施工実績があるのも特徴です。シリコン樹脂は、ガラスや陶磁器にも含まれるケイ素(シロキサン結合)を元にしており、この結合が非常に強固であるため、紫外線や雨風に対して優れた耐久性を発揮するのです。この安定した性能が、厳しい外部環境にさらされる外壁を守るのに適しているため、多くの住宅で採用されている理由となっています。
1-2. なぜ人気?シリコン塗料の5つのメリット

シリコン塗料が多くの人に選ばれるのには、明確な理由があります。ここでは、その代表的な5つのメリットについて、具体的に解説していきます。
メリット1:コストパフォーマンスが良い
シリコン塗料最大の魅力は、何と言ってもコストパフォーマンスの高さです。外壁塗装の費用は、塗料のグレードによって大きく変動します。例えば、より安価なアクリル塗料やウレタン塗料もありますが、これらは耐用年数が3年~8年程度と短く、頻繁な塗り替えが必要になる可能性があります。
一方で、フッ素塗料や無機塗料は15年以上の高い耐久性を誇りますが、その分、初期費用も高額になります。シリコン塗料は、耐用年数が7年~13年程度と、アクリルやウレタンより長く、フッ素や無機よりは短いものの、価格はその中間に位置します。
つまり、「そこそこの耐久性が欲しいけれど、初期費用は抑えたい」という、多くの人が抱えるニーズに最も合致する選択肢なのです。塗り替えサイクルと費用のバランスを考えると、トータルコストで見たときに非常に経済的であると言えます。
例えば、30坪の家で比較した場合、ウレタン塗装が70万円、シリコン塗装が90万円、フッ素塗装が120万円かかるとすると、耐用年数を考慮した1年あたりのコストは、シリコンが最も安くなるケースも少なくありません。
メリット2:優れた耐候性・耐久性
外壁は常に紫外線や雨風、温度変化といった過酷な環境にさらされています。シリコン塗料は、主成分であるシリコン樹脂の強固な結合(シロキサン結合)により、これらの外的要因に対する抵抗力が高いのが特徴です。
特に、塗膜を劣化させる最大の原因である紫外線に対して強いため、色あせやチョーキング(塗膜が粉状になる現象)が起こりにくく、長期間にわたって建物の美観を維持することができます。また、雨水にも強く、塗膜の剥がれや膨れといった劣化も起こしにくい性質を持っています。
この優れた耐候性・耐久性により、期待耐用年数は7年~13年と、アクリル塗料(3~5年)やウレタン塗料(5~8年)と比較して長持ちします。もちろん、立地条件や気候、製品のグレードによって差はありますが、一般的な環境下であれば、10年前後の塗り替えサイクルを考える上で十分な性能を持っていると言えるでしょう。この耐久性の高さが、結果的にメンテナンスの手間やコストを削減することにも繋がります。
メリット3:汚れにくい(低汚染性)
せっかくきれいに塗装しても、すぐに汚れが付いてしまっては残念ですよね。シリコン塗料は、塗膜の表面が緻密で硬く、汚れが付着しにくいという「低汚染性」に優れています。これは、シリコン樹脂が持つ撥水性(水を弾く性質)や、静電気を帯びにくい性質によるものです。
雨が降ると、付着した汚れが雨水と一緒に流れ落ちる「セルフクリーニング効果」を持つ製品も多く存在します。これにより、排気ガスや砂埃、カビ、藻といった都市部や湿気の多い場所で発生しやすい汚れが付きにくく、長期間にわたって外壁の美観を保つことができます。
例えば、交通量の多い道路沿いの家や、日当たりの悪い北側の壁など、汚れが気になる箇所がある場合、シリコン塗料の低汚染性は大きなメリットとなるでしょう。ただし、全てのシリコン塗料が同じレベルの低汚染性を持つわけではなく、製品によって性能差がある点には注意が必要です。より高い防汚性を求める場合は、セラミック成分を配合した製品などを検討するのも良いでしょう。
メリット4:透湿性で建物の健康を保つ
意外と知られていないシリコン塗料のメリットとして、「透湿性」が挙げられます。透湿性とは、水蒸気(湿気)は通すが、雨水などの液体は通さない性質のことです。建物内部で発生した湿気や、壁内部に侵入してしまったわずかな水分は、壁の中に溜まると結露やカビの原因となり、建物の構造材を腐らせるなど、建物の寿命を縮める要因になりかねません。
シリコン塗料の塗膜はこの湿気を外に逃がす性質を持っているため、壁内部の結露を防ぎ、建物の健康を維持するのに役立ちます。特に、湿度の高い日本の気候や、気密性の高い現代の住宅においては、この透湿性は重要な機能と言えます。
ただし、透湿性が高すぎると塗膜の強度が落ちる場合もあるため、バランスが重要です。シリコン塗料は、防水性と透湿性のバランスが比較的良いとされています。この機能により、見えない部分での建物の劣化リスクを低減できるのは、大きな安心材料と言えるでしょう。
メリット5:豊富なカラーバリエーション
外壁塗装は、住まいの印象を大きく変える機会でもあります。シリコン塗料は、国内の主要な塗料メーカー(例:日本ペイント、関西ペイント、エスケー化研など)の多くが主力製品として扱っており、カラーバリエーションが非常に豊富です。
定番の白、ベージュ、グレー系はもちろん、ブラウン、ブラック、さらにはブルーやグリーン、イエローといった鮮やかな色まで、幅広い選択肢の中から好みの色を選ぶことができます。また、色の種類だけでなく、艶(つや)の度合いも調整可能です。
光沢のある「艶あり」から、落ち着いた印象の「艶消し」、その中間の「〇分艶」など、仕上がりのイメージに合わせて選択できます(艶については後ほど詳しく解説します)。
さらに、近年では、太陽光を反射して室内の温度上昇を抑える「遮熱機能」や、熱の伝わりを抑える「断熱機能」を持つ高機能なシリコン塗料も登場しています。このように、色や艶、機能性の選択肢が多いため、デザイン性や快適性にこだわりたい方にとっても満足度の高い塗料と言えるでしょう。
1-3. デメリットも知っておこう!シリコン塗料の注意点
多くのメリットを持つシリコン塗料ですが、万能というわけではありません。採用を検討する上で、知っておくべきデメリットや注意点も存在します。ここでは、シリコン塗料を選ぶ際に考慮すべき3つのポイントを解説します。
デメリット1:ひび割れ追従性はやや低い?
シリコン塗料の塗膜は、比較的硬い性質を持っています。これは、汚れにくさや耐久性の高さに繋がる一方で、建物の動きや振動に対する追従性(伸縮性)がやや低いという側面もあります。特に、モルタル外壁のように、乾燥収縮や地震などでひび割れ(クラック)が発生しやすい素材の場合、硬いシリコン塗膜も一緒に割れてしまう可能性があります。
塗膜にひびが入ると、そこから雨水が浸入し、建物の劣化を早める原因となります。そのため、ひび割れが起こりやすい外壁材にシリコン塗料を使用する場合は、注意が必要です。対策としては、下地処理を丁寧に行うことや、伸縮性(弾性)を高めた「弾性シリコン塗料」を選ぶといった方法があります。
弾性シリコン塗料は、通常のシリコン塗料よりも柔らかく伸びる性質を持っているため、下地の動きに追従しやすく、ひび割れの発生を抑制する効果が期待できます。ただし、弾性タイプは汚れが付着しやすい場合もあるため、メリット・デメリットを考慮して選択することが重要です。
デメリット2:フッ素等に比べると耐用年数は短い
シリコン塗料の耐用年数は7年~15年程度と、アクリルやウレタンに比べれば長いですが、フッ素塗料(12年~20年)や無機塗料(15年~25年)といった、よりグレードの高い塗料と比較すると短くなります。
これらの高耐久塗料は、初期費用は高くなりますが、塗り替え回数を減らすことができるため、長期的な視点(ライフサイクルコスト)で見ると、シリコン塗料よりもコストを抑えられる可能性があります。「できるだけ長持ちさせたい」「頻繁なメンテナンスは避けたい」という耐久性を最優先する方にとっては、シリコン塗料は物足りなく感じるかもしれません。
例えば、築浅の住宅で、今後30年以上住み続ける予定であれば、初期投資をしてでもフッ素や無機を選ぶという選択肢も十分に考えられます。ご自身のライフプランや、建物にかけられるメンテナンス費用、求める耐久性のレベルなどを総合的に考慮し、最適な塗料グレードを選択することが重要です。
デメリット3:製品によっては重ね塗りに注意が必要
シリコン塗料の中には、撥水性(水を弾く性質)が非常に高い製品があります。この撥水性は、汚れを付きにくくするというメリットがある一方で、次回の塗り替え時に新しい塗料が密着しにくいというデメリットにも繋がる可能性があります。
特に、油性(溶剤)タイプのシリコン塗料の上に、水性塗料を重ね塗りする場合などは注意が必要です。適切な下地処理(目荒らしや専用プライマーの使用など)を行わないと、新しい塗膜が早期に剥がれてしまう施工不良のリスクがあります。
そのため、シリコン塗料で塗装する際、特に次回の塗り替えの際には、施工業者の技術力や知識が重要になります。前回どの塗料が塗られているかを把握し、それに適した下塗り材を選定し、丁寧な下地処理を行うことが、塗料の性能を最大限に引き出し、長持ちさせるための鍵となります。信頼できる業者に依頼することが、このようなリスクを避けるための最善策と言えるでしょう。
2. 【費用相場】シリコン塗料での外壁塗装、いくらかかる?
シリコン塗料のメリット・デメリットを理解したところで、次に気になるのはやはり「費用」ですよね。外壁塗装は決して安い買い物ではありません。ここでは、シリコン塗料を使った外壁塗装の費用相場について、平米単価と坪数別の総額目安を解説します。大まかな予算感を掴むことで、具体的な計画を立てやすくなるはずです。
2-1. 平米(㎡)あたりの単価目安
外壁塗装の費用を見積もる際、基本となるのが「平米(㎡)あたりの単価」です。これは、塗装する面積1平方メートルあたりにかかる塗料代と施工費(人件費など)を合わせたものです。シリコン塗料の場合、この平米単価の相場は、一般的に1,800円~2,800円程度とされています。ただし、これはあくまで目安であり、いくつかの要因によって変動します。
まず、塗料のグレードです。同じシリコン塗料でも、水性か油性か、1液型か2液型か、また特殊な機能(遮熱、弾性など)を持つかによって価格は異なります。一般的に、油性・2液型の方が高価になる傾向があります。また、メーカーや製品によっても価格設定は様々です。
次に、施工業者による違いです。業者によって、材料の仕入れ値や利益率、職人の技術レベルなどが異なるため、同じ塗料を使っても単価が変わることがあります。
さらに、下地の状態も影響します。ひび割れ補修や古い塗膜の除去など、下地処理に手間がかかる場合は、その分費用が上乗せされることがあります。
以下に、他の主要な塗料との平米単価の比較表を示します。シリコン塗料が価格帯として中間に位置することがよく分かります。
塗料の種類 | 平米単価(目安) | 特徴 |
---|---|---|
アクリル | 1,000円~1,600円/㎡ | 安価だが耐久性が低い |
ウレタン | 1,400円~2,300円/㎡ | 密着性・伸縮性に優れる |
シリコン | 1,800円~2,800円/㎡ | 価格と耐久性のバランスが良い |
ラジカル制御型 | 2,200円~3,200円/㎡ | 劣化因子(ラジカル)の発生を抑制 |
フッ素 | 3,500円~5,000円/㎡ | 高耐久だが高価 |
無機 | 4,000円~5,800円/㎡ | 最も高耐久だが非常に高価、ひび割れ注意 |
見積もりを取る際は、必ず塗料名(メーカー・製品名)と塗装面積、単価が明記されているかを確認しましょう。単に「シリコン塗装一式」となっている場合は、詳細を確認することが重要です。
2-2. 【坪数別】総額費用の目安
平米単価が分かっても、実際に自宅の塗装にいくらかかるのか、総額を知りたいですよね。外壁塗装の総額費用は、「塗装面積 × 平米単価」だけでは決まりません。実際には、足場の設置・解体費用、高圧洗浄費用、養生費用、下地処理費用、付帯部(雨樋、破風、軒天など)の塗装費用、そして諸経費(現場管理費など)といった様々な費用が含まれます。
一般的に、戸建て住宅の塗装面積は、延床面積(坪数 × 3.3㎡)に係数1.1~1.3を掛けて算出されることが多いです。例えば、30坪(約99㎡)の家なら、外壁面積は約120㎡~150㎡程度と想定されます。
以下に、一般的な戸建て住宅の坪数別に、シリコン塗料を使用した場合の総額費用の目安を示します。これは、足場代や付帯部塗装など、必要な工事一式を含んだ金額の相場です。
坪数 | 延床面積(目安) | 外壁面積(目安) | シリコン塗装 総額費用相場 |
---|---|---|---|
20坪 | 約66㎡ | 約80~100㎡ | 60万円~100万円 |
30坪 | 約99㎡ | 約120~150㎡ | 80万円~120万円 |
40坪 | 約132㎡ | 約160~200㎡ | 90万円~140万円 |
50坪 | 約165㎡ | 約200~250㎡ | 100万円~160万円 |
60坪 | 約198㎡ | 約240~300㎡ | 120万円~180万円 |
注意点として、これはあくまで一般的な目安であり、家の形状(凹凸が多い、窓が多いなど)、屋根塗装も同時に行うか、付帯部の劣化状況、選択するシリコン塗料のグレードなどによって、費用は大きく変動します。例えば、複雑な形状の家は足場や養生に手間がかかるため高くなる傾向がありますし、屋根もシリコンで塗装する場合は、さらに20万円~40万円程度が加算されるイメージです。
正確な費用を知るためには、必ず複数の信頼できる塗装業者に見積もりを依頼し、内容を比較検討することが不可欠です。見積もりでは、各工程の内訳が詳細に記載されているか、使用する塗料名が明記されているかなどをしっかり確認しましょう。
3. 種類が豊富!シリコン塗料の選び方

一口にシリコン塗料と言っても、実は様々な種類があります。水性か油性か、1液型か2液型か、艶(つや)はどうするか、さらには特殊な機能を持つものまで。ここでは、ご自宅の状況や好みに合わせて最適なシリコン塗料を選ぶためのポイントを解説します。それぞれの特徴を理解し、後悔のない選択をしましょう。
3-1. 水性 vs 油性(溶剤):どちらを選ぶべき?
シリコン塗料は、大きく「水性」と「油性(溶剤)」の2つのタイプに分けられます。これは、塗料を溶かすために何を使っているか(希釈剤)の違いです。どちらを選ぶかは、耐久性、臭い、価格、施工環境、既存の塗膜との相性などを考慮して決める必要があります。それぞれの特徴を理解し、ご自身の状況に合ったタイプを選びましょう。
水性シリコン塗料
水性シリコン塗料は、水を主成分とする希釈剤を使用しています。最大のメリットは、臭いが少なく、人体や環境への影響が比較的小さいことです。そのため、住宅密集地での塗装や、小さなお子様やペットがいるご家庭、アレルギーが気になる方には、水性塗料が選ばれることが多いです。
また、引火性が低いため、保管や取り扱いが比較的安全という利点もあります。価格も、一般的に油性よりもやや安価な傾向があります。近年では技術開発が進み、かつては油性に劣ると言われていた耐久性や密着性も大幅に向上しており、多くの場面で油性塗料と遜色ない性能を発揮します。
ただし、気温が低い(5℃以下)場合や湿度が高い(85%以上)場合は、乾燥しにくく性能を発揮できないことがあるため、冬場の施工などでは注意が必要です。
油性(溶剤)シリコン塗料
油性シリコン塗料は、シンナーなどの有機溶剤を希釈剤として使用します。最大のメリットは、塗膜が硬く、耐久性、密着性、光沢保持性に優れている点です。特に、金属部分(トタン屋根や雨戸など)への塗装や、既存の塗膜が油性の場合、あるいはより高い耐久性を求める場合に適しています。また、低温・多湿な環境でも比較的乾燥しやすいため、冬場の施工にも対応しやすいという利点があります。
一方で、デメリットとしては、シンナー特有の強い臭いが発生するため、塗装中や乾燥中は近隣への配慮が必要です。また、引火性があるため、火気の取り扱いには十分注意しなければなりません。価格は水性よりもやや高価になる傾向があります。健康面や環境面への配慮から、近年では油性塗料の使用が制限される場合もあります。
選び方のポイント(既存塗膜、下地、環境)
水性と油性のどちらを選ぶべきか、最終的な判断は以下のポイントを考慮すると良いでしょう。
- 臭いや環境への配慮
住宅密集地や小さなお子様がいるご家庭では、臭いの少ない水性がおすすめです。 - 既存の塗膜
前回の塗装が油性の場合、重ね塗りには油性を選ぶか、水性を塗る場合は適切な下塗り材が必要です。逆に水性の上に油性を塗ることは比較的容易です。不明な場合は業者に確認してもらいましょう。 - 下地の素材
金属部分には密着性の高い油性が適していることが多いですが、最近では金属にも対応した高性能な水性プライマー(下塗り材)もあります。 - 求める耐久性
一般的には油性の方が塗膜が硬く耐久性に優れるとされますが、最近の高性能な水性塗料も遜色ありません。製品のグレードを確認することが重要です。 - 施工時期・環境
冬場や梅雨時期など、低温・多湿が予想される場合は、乾燥しやすい油性の方が有利な場合があります。
最終的には、塗装業者の専門的な意見を聞きながら、ご自宅の状況や優先順位に合わせて選択することが最も重要です。信頼できる業者であれば、それぞれのメリット・デメリットを説明した上で、最適な提案をしてくれるはずです。
3-2. 1液型 vs 2液型:性能と扱いやすさの違い
シリコン塗料には、水性/油性の違いの他に、「1液型」と「2液型」という分類もあります。これは、使用する際に塗料液(主剤)だけで使えるか、硬化剤を混ぜる必要があるかの違いです。性能や価格、扱いやすさが異なるため、どちらを選ぶべきか理解しておきましょう。
1液型シリコン塗料
1液型シリコン塗料は、塗料液(主剤)のみで構成されており、そのまま、もしくは水やシンナーで薄めるだけで使用できるタイプの塗料です。最大のメリットは、硬化剤を混ぜる手間がなく、扱いやすい点です。計量ミスによる硬化不良のリスクがなく、塗料が余った場合でも、しっかり密閉しておけば保管して後日使用することも可能です(ただし、保管期間には限りがあります)。
そのため、DIYでの塗装や、小面積の補修などにも比較的向いています。価格も、一般的に2液型よりも安価な傾向があります。ただし、性能面では、一般的に2液型に比べて耐久性や密着性がやや劣るとされています。とはいえ、最近の1液型塗料も性能が向上しており、一般的な住宅塗装であれば十分な性能を持つ製品も多くあります。
2液型シリコン塗料
2液型シリコン塗料は、塗料液である「主剤」と、それを硬化させるための「硬化剤」の2つの液体を、塗装直前に規定の比率で混合して使用するタイプの塗料です。最大のメリットは、化学反応によって強固な塗膜を形成するため、1液型に比べて耐久性、密着性、耐薬品性などに優れている点です。
より長持ちさせたい場合や、過酷な環境下(塩害地域、工業地帯など)での塗装、あるいは下地との密着性が特に求められる場合には、2液型が選ばれることが多いです。プロの塗装業者が使用するのは、主にこの2液型です。
デメリットとしては、主剤と硬化剤を正確な比率で混合する必要があることです。この比率を間違えると、塗膜が硬化しなかったり、逆に硬すぎてひび割れやすくなったりするなど、性能が十分に発揮されません。また、一度混ぜてしまうと化学反応が始まるため、使い切る必要があり、保管ができません(可使時間と呼ばれる使用可能な時間に制限があります)。価格も1液型より高価になります。
どちらが適しているか?
1液型と2液型のどちらを選ぶかは、以下の点を考慮して判断しましょう。
- 求める性能・耐久性
より高い耐久性や密着性を求めるなら2液型が有利です。特に、屋根塗装や、劣化が進んだ外壁、金属部分などには2液型が推奨されることが多いです。 - 施工のしやすさ(DIYか業者か)
DIYで塗装する場合は、計量の手間がなく扱いやすい1液型がおすすめです。プロの業者に依頼する場合は、正確な混合と施工が期待できるため、性能重視で2液型を選択することが一般的です。 - 予算
初期費用を少しでも抑えたい場合は、1液型の方が安価な傾向があります。 - 塗料の無駄
塗装面積が小さい場合や、補修用に少しだけ使いたい場合は、使い切りが必要な2液型だと無駄が多くなる可能性があります。その場合は1液型が便利です。
基本的には、外壁塗装を業者に依頼する場合は、性能面で優れる2液型シリコン塗料を提案されることが多いでしょう。ただし、最近では高性能な1液型塗料も増えていますので、業者の説明をよく聞き、見積もり内容(使用する塗料の製品名、1液か2液か)を確認することが大切です。
3-3. 艶(つや)の有無と選び方

シリコン塗料を選ぶ際、色だけでなく「艶(つや)」の度合いも仕上がりの印象を大きく左右する要素です。ピカピカの光沢がある仕上がりから、マットで落ち着いた仕上がりまで、いくつかの段階から選ぶことができます。見た目の好みだけでなく、機能面にも違いがあるため、それぞれの特徴を知って選びましょう。
艶の種類(艶あり、7分艶、5分艶、3分艶、艶消し)
塗料の艶は、光の反射率によって段階分けされています。一般的に、以下の5段階で表現されることが多いです。
- 艶あり(全艶、グロス): 最も光沢が強く、ピカピカとした仕上がり。光をよく反射します。
- 7分艶(セミグロス): 艶ありより少し光沢を抑えた状態。上品な光沢感があります。
- 5分艶(半艶、ハーフマット): 艶ありと艶消しの中間の光沢。落ち着いた印象になります。
- 3分艶:5分艶よりもさらに光沢を抑えた状態。わずかに艶を感じる程度です。
- 艶消し(マット、フラット): 光沢がほとんどなく、しっとりとしたマットな仕上がり。
メーカーや製品によって、用意されている艶の段階や呼び方が異なる場合があります。また、同じ「〇分艶」でも、メーカーによって実際の光沢感が微妙に違うこともあります。
それぞれの見た目の違いと特徴
- 艶あり
新築のような輝きがあり、華やかな印象になります。光が当たる角度によって表情が変わります。汚れが付いても水洗いで落ちやすい傾向があります。ただし、光沢が強いため、下地の凹凸やムラが目立ちやすいという側面もあります。 - 7分艶・5分艶・3分艶
艶ありの華やかさを抑えつつ、適度な光沢感を残した仕上がりです。上品で落ち着いた印象を与え、艶ありほど下地の凹凸が目立ちにくいのが特徴です。艶の度合いが下がるにつれて、よりマットな質感に近づきます。 - 艶消し
光沢がなく、非常に落ち着いたシックな印象になります。和風建築や、周囲の景観に馴染ませたい場合などに選ばれることが多いです。光を反射しないため、下地の凹凸が最も目立ちにくいですが、表面の微細な凹凸に汚れが入り込みやすく、艶ありに比べると汚れやすい傾向があります。
機能面(耐久性・低汚染性)と艶の関係
実は、艶の有無は見た目だけでなく、塗料の機能面、特に「耐久性」と「低汚染性」にも影響します。一般的に、艶がある塗料の方が、塗膜の表面が滑らかで緻密になるため、汚れが付着しにくく、耐久性も高い傾向があります。これは、艶を出すための樹脂成分が塗膜の密度を高めるためです。
逆に、艶を消す(マットにする)ためには、「艶消し剤」という添加剤を塗料に混ぜます。この艶消し剤は、塗膜の表面に微細な凹凸を作り出すことで光の反射を抑えるのですが、この凹凸が汚れを付着しやすくしたり、塗膜の強度をわずかに低下させたりする要因になるのです。
そのため、機能性(耐久性・低汚染性)を重視する場合は、「艶あり」または「〇分艶」を選ぶのがセオリーとされています。ただし、最近では艶消しでも高い耐久性や低汚染性を持つ塗料も開発されていますので、製品の性能をよく確認することが重要です。
選び方のポイント(好み、周囲との調和、機能性)
艶を選ぶ際は、以下の点を考慮しましょう。
- 見た目の好み
まずは、ご自身がどのような仕上がりを好むかが重要です。ピカピカが良いか、落ち着いたマットが良いか、サンプルなどを参考にイメージを固めましょう。 - 建物デザインや周囲との調和
洋風のモダンな建物には艶ありが似合うこともありますし、和風建築や自然に囲まれた環境では艶消しが馴染むこともあります。隣家とのバランスも考慮すると良いでしょう。 - 機能性(耐久性・汚れにくさ)
長持ちさせたい、汚れにくい方が良いという場合は、艶あり、または7分艶や5分艶あたりを選ぶのがおすすめです。 - 下地の状態
下地の凹凸が気になる場合は、艶を抑えた方が目立ちにくくなります。
実際に色見本や塗り板サンプルで艶の具合を確認し、可能であればA4サイズ程度の大きな塗り板で、太陽光の下で見てみることをお勧めします。小さなサンプルと実際の壁に塗った場合では、印象が異なることがあります。業者とよく相談し、後悔のない艶選びをしてください。
3-4. 我が家にシリコン塗料は合う?適した外壁材と状況
シリコン塗料は多くのメリットを持つ万能選手ですが、どんな外壁材や状況にも必ずしも最適とは限りません。ここでは、シリコン塗料が特に性能を発揮しやすい外壁材の種類や、どのようなニーズを持つ方にシリコン塗料がおすすめなのかを解説します。また、外壁塗装で重要な色選びのヒントもご紹介します。
シリコン塗料が適している外壁材(サイディング、モルタル、ALCなど)
シリコン塗料は、現在日本の戸建て住宅で使われているほとんどの外壁材に塗装可能です。代表的な外壁材との相性を見てみましょう。
- 窯業系サイディング
現在最も普及している外壁材です。シリコン塗料の優れた耐候性・低汚染性は、サイディングボードの保護に適しています。ただし、ボード間のシーリング(コーキング)材の劣化には注意が必要です。塗装と同時にシーリングの打ち替えも検討しましょう。 - 金属系サイディング(ガルバリウム鋼板など)
軽量で断熱性に優れるサイディングです。シリコン塗料は密着性も比較的良好ですが、より密着性を高めるために、下塗り材の選定が重要になります。油性タイプや専用プライマーの使用が推奨されることもあります。 - モルタル
昔ながらの塗り壁です。シリコン塗料は使用可能ですが、前述の通りひび割れ追従性がやや低いというデメリットがあります。ひび割れが懸念される場合は、弾性シリコン塗料を選ぶか、下地処理を丁寧に行う必要があります。 - ALCパネル
軽量気泡コンクリートパネルです。断熱性に優れますが、吸水性が高いという特徴があります。シリコン塗料の防水性と適度な透湿性は、ALCパネルの保護に適しています。こちらも目地のシーリング材のメンテナンスが重要です。 - コンクリート(RC造)
打ちっぱなしコンクリートなどにもシリコン塗料は使用できます。中性化を抑制し、コンクリートを保護する役割を果たします。
基本的には、適切な下地処理と下塗り材の選定を行えば、ほとんどの外壁材に対応できるのがシリコン塗料の強みです。ただし、素材の特性(伸縮性、吸水性など)に合わせて、最適な種類のシリコン塗料(弾性タイプなど)や施工方法を選ぶことが重要になります。
こんな方にはシリコン塗料がおすすめ!
以下の項目に当てはまる方は、シリコン塗料が有力な選択肢となるでしょう。
- □ コストパフォーマンスを重視したい方: 初期費用と耐久性のバランスが良い塗料を探している。
- □ 10年前後の塗り替えサイクルを考えている方: 極端な高耐久性は求めないが、アクリルやウレタンよりは長持ちさせたい。
- □ 外壁の汚れが気になる方: 低汚染性やセルフクリーニング機能に魅力を感じる。
- □ ある程度の耐久性と美観を維持したい方: 標準的な性能で満足できる。
- □ 豊富な色や艶から選びたい方: デザインの選択肢が多い方が良い。
- □ 外壁塗装の費用を標準的な予算内に収めたい方: 極端に安価、または高価な塗料は避けたい。
- □ 初めての外壁塗装で、どの塗料を選べば良いか迷っている方: まずはスタンダードな選択肢から検討したい。
もし、「とにかく長持ちさせたい(15年以上)」「初期費用が高くても、塗り替え回数を減らしたい」という場合は、フッ素や無機塗料を検討する方が良いかもしれません。逆に、「あと数年しか住まない予定なので、費用を最優先したい」という場合は、ウレタン塗料なども選択肢に入ります。
色選びのヒント(人気色、失敗しないための注意点)
外壁の色選びは、家の印象を決定づける重要な工程ですが、失敗しやすいポイントでもあります。シリコン塗料はカラーバリエーションが豊富だからこそ、迷ってしまいますよね。
- 人気色
一般的に、ベージュ、アイボリー、ホワイト、グレー、ブラウンといった、落ち着いたアースカラーやニュートラルカラーが人気です。これらは汚れが目立ちにくく、周囲の景観にも馴染みやすいというメリットがあります。 - 失敗しないための注意点
- 面積効果を考慮する
小さな色見本で見る色と、実際に壁全体に塗った色では、明るい色はより明るく、暗い色はより暗く、鮮やかな色はより鮮やかに見えます(面積効果)。少し落ち着いた色を選ぶくらいが丁度良いことが多いです。 - 太陽光の下で確認する
室内灯と太陽光では色の見え方が異なります。必ず屋外で、できれば晴れた日と曇りの日、朝昼晩と時間帯を変えて色見本を確認しましょう。 - 大きな塗り板サンプルで確認する
可能であれば、A4サイズ以上の大きな塗り板で確認することをおすすめします。 - 周囲の景観との調和
隣家や街並みとのバランスも考慮しましょう。奇抜すぎる色は浮いてしまう可能性があります。 - サッシやドア、屋根の色との相性
外壁だけでなく、窓枠、玄関ドア、屋根の色との組み合わせも重要です。全体のカラーコーディネートを考えましょう。 - 汚れの目立ちやすさ
真っ白や真っ黒は、実は汚れが目立ちやすい色です。グレーやベージュなどの中間色が、比較的汚れが目立ちにくいとされています。
- 面積効果を考慮する
色選びに迷ったら、塗装業者に相談し、カラーシミュレーションなどを活用するのも良い方法です。経験豊富な業者なら、人気の配色や、ご自宅のデザインに合った色の提案をしてくれるでしょう。
3-5. こんな機能も!特殊なシリコン塗料
スタンダードなシリコン塗料に加え、近年では特定の機能が付加された「高機能シリコン塗料」も登場しています。これらの塗料は、一般的なシリコン塗料よりも価格は高くなる傾向がありますが、住まいの快適性向上や、特定の悩みを解決するのに役立ちます。代表的な特殊シリコン塗料をご紹介します。
遮熱シリコン塗料
太陽光に含まれる赤外線を効率よく反射することで、塗膜や建物自体の温度上昇を抑える機能を持つ塗料です。特に、屋根に塗装することで、夏の室内の温度上昇を抑制し、冷房効率を高める効果が期待できます。
結果として、光熱費の削減にも繋がる可能性があります。外壁用もあり、西日が強い壁などに使用すると効果的です。代表的な製品としては、日本ペイントの「サーモアイSi」や関西ペイントの「アレスクール水性Si」などがあります(価格帯は通常のシリコンより1~2割程度高くなることが多いです)。
断熱シリコン塗料
塗料の中に特殊な中空セラミックビーズなどが配合されており、熱の伝わり自体を抑える(断熱)効果を持つ塗料です。遮熱塗料が太陽光を反射するのに対し、断熱塗料は外からの熱の侵入と、中からの熱の放出の両方を抑制します。そのため、夏の暑さ対策だけでなく、冬の寒さ対策(保温効果)も期待できます。
遮熱塗料よりも効果を実感しやすいという声もありますが、価格はさらに高くなる傾向があります。代表的な製品としては、日進産業の「ガイナ」(厳密にはシリコン系ではないですが、断熱塗料として有名)などがあります。
弾性シリコン塗料
前述の通り、塗膜自体に伸縮性を持たせたシリコン塗料です。通常のシリコン塗料よりも柔らかく伸びるため、モルタル外壁など、ひび割れ(クラック)が発生しやすい下地に適しています。下地の動きに塗膜が追従することで、表面にひび割れが現れるのを防いだり、軽微なひび割れであれば塗膜がカバーしたりする効果が期待できます。
ただし、塗膜が柔らかいため、汚れが付着しやすい、耐久性が若干劣る場合があるといったデメリットも考慮する必要があります。エスケー化研の「弾性プレミアムシリコン」などが代表例です。
ラジカル制御型シリコン塗料
厳密にはシリコン塗料の一種というより、「ラジカル制御技術」を用いた塗料の中にシリコングレードのものがある、という位置づけです。塗膜を劣化させる原因物質「ラジカル」の発生を抑制することで、従来のシリコン塗料よりも高い耐候性を実現します。シリコンとフッ素の中間程度の耐久性を持つとされ、近年非常に人気が高まっています。詳しくは後述の比較セクションで解説します。
これらの特殊なシリコン塗料は、特定の課題(暑さ、寒さ、ひび割れ)を解決したい場合に有効な選択肢となります。ただし、費用対効果をよく考える必要があります。例えば、遮熱塗料の効果は屋根の色や形状、断熱性能などによっても変わります。ご自身の住まいの状況や、何を最も改善したいのかを明確にし、業者とよく相談した上で導入を検討しましょう。
3-6. 【重要】失敗しないシリコン塗料選びのポイント
ここまでシリコン塗料の種類や特徴について解説してきましたが、最終的に「どのシリコン塗料を選ぶか」で失敗しないためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。価格だけで選んだり、業者の言いなりになったりせず、ご自身で納得のいく選択をするために、以下の点を必ずチェックしましょう。
信頼できるメーカーの製品を選ぶ
塗料は化学製品であり、品質はメーカーの技術力に大きく左右されます。日本ペイント、関西ペイント、エスケー化研といった国内大手メーカーや、アステックペイント、菊水化学工業など、実績のあるメーカーの製品を選ぶのが安心です。
これらのメーカーは、品質管理がしっかりしており、製品に関する情報開示も比較的透明性が高いです。あまり聞いたことのないメーカーの安価すぎる塗料には注意が必要です。
「シリコン含有率」だけで判断しない
「シリコンがたくさん入っている方が高性能」と思いがちですが、一概にそうとは言えません。塗料の性能は、シリコン樹脂だけでなく、アクリル樹脂など他の成分とのバランス、添加剤の種類や量など、総合的な配合技術によって決まります。
含有率が高いからといって、必ずしも耐久性や機能性が優れているとは限りません。むしろ、製品名やグレード、メーカーの信頼性を重視する方が確実です。
自宅の外壁材との相性を考慮する
前述の通り、外壁材の種類(サイディング、モルタル、ALCなど)によって、適した塗料の性質(弾性、透湿性など)が異なります。特にモルタル壁には弾性タイプを検討するなど、外壁材の特性に合ったシリコン塗料を選ぶことが重要です。業者に自宅の外壁材をしっかり診断してもらい、最適な塗料を提案してもらいましょう。
屋根塗装にはより高耐久なグレードを検討する
屋根は外壁よりも紫外線や雨風の影響を強く受けるため、劣化のスピードが速い箇所です。外壁と同じシリコン塗料を使うことも可能ですが、外壁よりもワンランク上のグレード(高耐久シリコンやフッ素など)を選ぶ、あるいは遮熱機能付きのものを選ぶことで、メンテナンスサイクルを合わせたり、より快適な住環境を実現したりできます。
見積書で塗料名(製品名)を確認する
見積書に単に「シリコン塗装」としか書かれていない場合は要注意です。どのメーカーの、何という製品(グレード)を使用するのかを必ず明記してもらいましょう。これにより、後で「思っていた性能と違う」といったトラブルを防ぐことができます。可能であれば、その塗料のカタログや仕様書を見せてもらうと、より詳細な情報を確認できます。
業者の提案内容を鵜呑みにせず、疑問点は質問する
業者はプロですが、必ずしも施主にとって最善の提案をしてくれるとは限りません。なぜその塗料を勧めるのか、他の選択肢はないのか、メリット・デメリットは何かなど、疑問に思ったことは遠慮なく質問し、納得いくまで説明を求めましょう。複数の業者から話を聞く(相見積もりを取る)ことで、比較検討もしやすくなります。
これらのポイントを押さえ、情報収集と比較検討をしっかり行うことが、シリコン塗料選びで失敗しないための鍵となります。
4. 【徹底比較】シリコン vs 他の主要塗料(ウレタン・フッ素・ラジカル)

シリコン塗料の特徴は理解できたけれど、「他の塗料と比べて、結局どれが良いの?」という疑問が残りますよね。ここでは、シリコン塗料とよく比較される主要な塗料(ラジカル制御型、フッ素、そして比較対象としてウレタン)を取り上げ、それぞれのメリット・デメリット、費用、耐用年数などを比較しながら、どのような場合にどの塗料が適しているのかを解説します。
4-1. シリコン vs ラジカル制御型塗料:今注目の選択肢
近年、シリコン塗料と並んで、あるいはそれ以上に注目を集めているのが「ラジカル制御型塗料(ラジカル塗料)」です。シリコン塗料を検討する上で、必ず比較対象となるこの新しいタイプの塗料について、詳しく見ていきましょう。
ラジカル塗料とは?劣化を防ぐ仕組み
ラジカル制御型塗料は、塗料の主成分(樹脂の種類:アクリル、シリコン、フッ素など)に関わらず、塗膜の劣化を引き起こす原因物質「ラジカル」の発生を抑制する技術を取り入れた塗料の総称です。
ラジカルは、塗料に含まれる顔料(主に白色顔料の酸化チタン)が紫外線や水に触れることで発生し、これが樹脂の結合を破壊して塗膜の劣化(色あせ、チョーキングなど)を促進します。ラジカル制御型塗料は、以下の2つの技術でラジカルの活動を抑えます。
- 高耐候性酸化チタンの使用:紫外線が当たってもラジカルが発生しにくい特殊な酸化チタンを使用します。
- 光安定剤(HALS)の配合:発生してしまったラジカルを捕まえて、その活動を抑制する成分(光安定剤)を配合します。
この技術により、従来の塗料よりも塗膜の劣化進行を大幅に遅らせ、長期間にわたって美観と保護機能を維持することが可能になりました。日本ペイントの「パーフェクトトップ」やエスケー化研の「プレミアムシリコン」などが代表的な製品です(プレミアムシリコンはラジカル制御型のシリコン塗料)。
シリコンと比較したメリット・デメリット
【ラジカル制御型塗料のメリット】
- 高い耐候性
一般的なシリコン塗料よりも耐候性に優れ、長持ちします。期待耐用年数は8年~14年程度とされ、シリコンとフッ素の中間くらいに位置づけられます。 - 汚れにくい
チョーキングが発生しにくいため、美観を長期間維持できます。 - コストパフォーマンス
シリコン塗料より若干高価(平米単価で数百円~1,000円程度)ですが、フッ素塗料よりは安価でありながら、シリコン以上の耐久性が期待できるため、コストパフォーマンスが高い選択肢として人気があります。 - 作業性が良い
従来のシリコン塗料と同様の感覚で塗装できる製品が多いです。
【ラジカル制御型塗料のデメリット】
- 比較的新しい技術
登場してからまだ10年程度と比較的新しい技術のため、長期的な実績(20年、30年といったスパンでの評価)はまだ確立されていません。 - 濃い色には不向きな場合も?
ラジカルは主に白色顔料から発生するため、原理的には白や淡い色で最も効果を発揮します。濃い色ではラジカル制御の効果が薄れる、あるいは不要という考え方もありますが、最近では濃彩色対応の製品も増えています。 - 価格
一般的なシリコン塗料よりはやや高価になります。
どちらを選ぶべきかの判断基準
シリコン塗料とラジカル制御型塗料(特にラジカル制御型のシリコン塗料)で迷った場合、以下の点を基準に考えると良いでしょう。
- 予算と耐久性のバランス
予算を少し上乗せしてでも、シリコンよりワンランク上の耐久性が欲しい場合は、ラジカル制御型が有力な候補となります。フッ素ほど高価ではないが、シリコン以上の長持ちを期待したい、というニーズにマッチします。 - 実績重視か、新技術への期待か
長年の実績があり、安定した性能を求めるなら従来のシリコン塗料。最新技術による高い耐候性に期待したいならラジカル制御型、という考え方もできます。 - 業者の推奨
多くの業者がラジカル制御型塗料を積極的に推奨しています。その理由(メリット)と、従来のシリコンとの違いをしっかり説明してもらい、納得できれば採用する価値は高いでしょう。
現在では、ラジカル制御型塗料がシリコン塗料に代わる新しいスタンダードになりつつあります。特別な理由がない限り、シリコン塗料を検討する際には、ラジカル制御型塗料も合わせて比較検討することを強くお勧めします。
4-2. シリコン vs フッ素塗料:長期的な視点での比較
「どうせ塗り替えるなら、一番長持ちする塗料が良いのでは?」と考える方もいらっしゃるでしょう。シリコン塗料よりもさらに高い耐久性を誇るのが「フッ素塗料」です。ここでは、シリコン塗料とフッ素塗料を、特に長期的な視点(ライフサイクルコスト)で比較してみましょう。
初期費用とライフサイクルコストの違い
- 初期費用
フッ素塗料は、シリコン塗料に比べて初期費用が高額になります。平米単価で比較すると、シリコンが1,800円~2,800円/㎡程度なのに対し、フッ素は3,500円~5,000円/㎡程度が相場です。30坪の家で総額を比較すると、シリコンが80万円~120万円程度なのに対し、フッ素は100万円~160万円程度となり、数十万円の価格差が出ることが一般的です。 - 耐用年数
フッ素塗料の最大のメリットは、その圧倒的な耐久性です。期待耐用年数は10年~15年程度と、シリコン塗料(7年~13年)よりも大幅に長くなります。紫外線や雨風、汚れに対する耐性が非常に高く、長期間にわたって美しい光沢と保護性能を維持します。 - ライフサイクルコスト
ライフサイクルコストとは、建物の寿命全体でかかる総費用のことです。例えば、30年間で考えると、シリコン塗料(耐用年数10年と仮定)では3回の塗り替えが必要になる可能性がありますが、フッ素塗料(耐用年数15年と仮定)なら2回の塗り替えで済む計算になります。初期費用は高くても、塗り替え回数が減ることで、足場代などの共通費用が節約でき、結果的にフッ素塗料の方がトータルコスト(ライフサイクルコスト)は安くなる可能性があるのです。
以下の表は、30年間のライフサイクルコストの簡単なシミュレーション例です(30坪の家、足場代等込み)。
塗料の種類 | 1回の費用(目安) | 耐用年数(目安) | 30年間の塗替え回数 | 30年間の総費用(目安) |
---|---|---|---|---|
シリコン | 100万円 | 10年 | 3回 (10, 20, 30年目) | 300万円 |
フッ素 | 130万円 | 15年 | 2回 (15, 30年目) | 260万円 |
※これはあくまで単純計算の例であり、実際の費用や耐用年数は条件により異なります。
耐久性を最優先する場合の選択肢
上記のように、建物の維持管理の手間を減らしたい、長期的に見てコストを抑えたい、とにかく長持ちさせたいという、耐久性を最優先する場合には、フッ素塗料は非常に有力な選択肢となります。特に、以下のようなケースではフッ素塗料のメリットが大きいでしょう。
- 頻繁なメンテナンスが難しい立地:足場が組みにくい、隣家との距離が近いなど。
- 長期的な居住を予定している:今後20年、30年以上住み続ける予定がある。
- 美観を長く保ちたい:商業施設や、デザイン性の高い住宅など。
- 過酷な環境下にある:紫外線が強い地域、沿岸部(塩害)、交通量の多い場所など。
フッ素塗料の注意点
フッ素塗料を選ぶ際には、以下の点に注意が必要です。
- 初期費用が高い
やはり最大のネックは初期費用の高さです。予算的に厳しい場合は無理に選ぶ必要はありません。 - 塗膜が硬く、ひび割れしやすい場合も
シリコン以上に塗膜が硬いため、モルタル壁など動きのある下地には、ひび割れのリスクが高まる可能性があります。弾性タイプのフッ素塗料もありますが、種類は限られます。 - 艶の種類が限られる場合がある
艶ありタイプが主流で、艶消しタイプの選択肢が少ない場合があります。 - 施工実績のある業者を選ぶ
フッ素塗料の性能を最大限に引き出すには、適切な施工が不可欠です。フッ素塗料の施工実績が豊富な、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
シリコンとフッ素、どちらが良いかは一概には言えません。ご自身の予算、求める耐久年数、建物の状況、将来のライフプランなどを総合的に考慮し、最適な選択をすることが大切です。
4-3. 結局どの塗料が良い?専門家のアドバイス
ここまでシリコン、ラジカル、フッ素といった主要な塗料を比較してきましたが、「結局、我が家にはどの塗料が一番合っているの?」と迷われる方も多いでしょう。塗料選びに絶対的な正解はありません。専門家の視点から、最適な塗料を選ぶための考え方と、私たち株式会社YU-SHINがお手伝いできることをお伝えします。
予算、求める耐久性、建物の状況に応じた考え方
最適な塗料は、お客様一人ひとりの状況によって異なります。以下の3つの軸で考えてみましょう。
- 予算:まずは、外壁塗装にかけられる予算の上限を明確にすることが重要です。
- 予算を最優先したい:ウレタンや、比較的安価なシリコン・ラジカル塗料が候補になります。
- 標準的な予算:シリコンまたはラジカル制御型塗料が最もバランスの取れた選択肢です。
- 予算に余裕があり、長期的なコストを抑えたい:フッ素や無機塗料といった高耐久塗料が視野に入ります。
- 求める耐久性(塗り替えサイクル): 次に、どのくらいの期間、塗り替えずに済ませたいかを考えます。
- 10年前後で良い:シリコンやラジカル制御型塗料で十分な場合が多いです。
- 15年以上持たせたい:フッ素や無機塗料を検討する価値があります。ラジカル制御型の中でも高耐久な製品も候補です。
- 特にこだわらない(数年持てば良い): アクリルやウレタンも選択肢ですが、費用対効果を考えるとシリコン以上がおすすめです。
- 建物の状況:外壁材の種類、劣化の程度、立地環境なども重要な判断材料です。
- ひび割れしやすいモルタル壁:弾性タイプの塗料(弾性シリコン、弾性ウレタンなど)を検討します。
- 汚れやすい環境(交通量が多い、日陰など): 低汚染性の高い塗料(シリコン、ラジカル、フッ素など)や、セルフクリーニング機能付きのものがおすすめです。
- 塩害地域や紫外線が強い地域:耐候性の高いフッ素や無機、あるいは高耐久なラジカル制御型塗料が適しています。
- 暑さ・寒さが気になる:遮熱・断熱塗料を検討します。
これらの要素を総合的に考え、優先順位をつけていくことで、ご自身にとって最適な塗料が見えてくるはずです。例えば、「予算は標準的で、10年くらい持って、汚れにくいのが良い」ならシリコンかラジカル、「初期費用は高くても良いから、とにかく長持ちさせたい」ならフッ素、といった具合です。
YU-SHINがお手伝いできること(最適な塗料選定)
私たち株式会社YU-SHINは、大阪市大正区を拠点に、地域密着で外壁塗装・屋根塗装を手掛ける専門業者です。塗料選びで迷われているお客様に対し、私たちは以下のサポートを提供できます。
- 無料の建物診断
まずは、お客様のお住まいの外壁や屋根の状態をプロの目で詳しく診断します。外壁材の種類、劣化状況(ひび割れ、チョーキング、カビ・藻の発生など)、付帯部の状態などを正確に把握します。 - 丁寧なヒアリング
お客様のご要望(予算、希望する耐久年数、色やデザインの好み、お悩みなど)を詳しくお伺いします。 - 最適な塗料プランのご提案
診断結果とヒアリング内容に基づき、シリコン、ラジカル、フッ素など、複数の塗料プランをそれぞれのメリット・デメリット、費用と合わせて分かりやすくご提案します。なぜその塗料がお客様のお住まいに適しているのか、根拠を持って説明いたします。 - 試し塗りによる色確認
ご希望に応じて、実際の壁の一部に候補の色を試し塗りし、日当たりや見る角度による色の違いを直接ご確認いただけます。これにより、色選びの失敗を防ぎます。 - 分かりやすい見積もり
各工程の内容と費用、使用する塗料名(メーカー・製品名)を明記した、透明性の高い見積書を作成します。
私たちは、特定の塗料を押し付けるのではなく、お客様一人ひとりの状況とご要望に真摯に向き合い、長期的な視点も踏まえた上で、最もご満足いただける塗料選びと施工プランをご提案することを信条としています。塗料選びに関する疑問や不安があれば、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。
まとめ:シリコン塗料はこんな方におすすめ!
ここまで、外壁塗装で人気のシリコン塗料について、基本的な特徴からメリット・デメリット、費用相場、選び方のポイント、そして他の塗料との比較まで詳しく解説してきました。
シリコン塗料は、「価格」「耐久性」「機能性」のバランスが非常に取れた、コストパフォーマンスの高い塗料です。
【シリコン塗料が特におすすめな方】
- コストパフォーマンスを重視する方
- 標準的な耐久性(7年~13年程度)を求める方
- 外壁の汚れにくさを重視する方
- 豊富な色や艶、機能(遮熱など)から選びたい方
- 外壁塗装の費用を抑えつつ、一定の品質を確保したい方
- 初めての外壁塗装で、スタンダードな塗料を選びたい方
一方で、ひび割れしやすい外壁(モルタルなど)には注意が必要な場合があることや、フッ素などの高耐久塗料に比べると耐用年数が短いといったデメリットも理解しておく必要があります。
近年では、シリコン塗料と同等か少し高いくらいの価格帯で、より高い耐候性を持つ「ラジカル制御型塗料」も登場しており、こちらも有力な選択肢となっています。
最終的にどの塗料を選ぶかは、ご自身の予算、求める耐久年数、建物の状態、そしてデザインの好みなどを総合的に考慮して決めることが重要です。
株式会社YU-SHINでは、お客様の大切な住まいを守るため、最適な塗料選びから丁寧な施工まで、責任を持ってお手伝いさせていただきます。大阪市及び近隣地域での外壁塗装をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。無料の建物診断・お見積もりも承っております。