外壁塗装を考えるとき、多くの人が「どの色にしようか?」と迷います。しかし、それと同じくらい重要なのが「艶(つや)」をどうするかという選択です。艶ありの塗料はピカピカと光沢があり、新築のような仕上がりになる一方で、艶なしの塗料は落ち着いた雰囲気で、上品な印象を演出できるという特徴があります。
では、どちらを選ぶのが正解なのでしょうか?実は、艶の有無によって外壁の耐久性やメンテナンスのしやすさも変わるため、単なる「好み」だけで決めると、後悔することになりかねません。「艶ありにしたら、思ったよりテカテカしてしまった…」「艶なしを選んだら、汚れが目立ちやすかった…」という失敗談も少なくないのです。
せっかく大切なマイホームを塗り替えるなら、見た目の美しさだけでなく、機能性やメンテナンス性も考慮して、ベストな選択をしたいですよね。この記事では、艶あり塗料と艶なし塗料、それぞれのメリット・デメリットを徹底解説し、最適な選び方をお伝えします。
目次
外壁塗装における「艶」とは?
外壁塗装における「艶」とは、塗料が乾燥した後の光沢の度合いを指します。
艶の有無によって外壁の印象が大きく変わるため、選び方は慎重に行う必要があります。
この章では、艶の定義やグロス値(光沢度)、さらには艶の5段階について詳しく解説します。艶あり・艶なしの違いを理解し、理想の外観を実現するための参考にしてください。
艶の定義とグロス値(光沢度)について
外壁塗装の「艶(つや)」とは、塗装後の表面がどの程度光を反射するかを示すものです。艶が強いほど光の反射が強く、鏡のような光沢感が生まれます。逆に艶が弱いと光の反射が少なく、マットな質感になります。この「艶」の度合いは、グロス値(光沢度)という数値で科学的に測定されています。
グロス値の目安
- 艶あり(70%以上):鏡面のような光沢があり、強い反射を持つ
- 7分艶(約60%前後):適度な光沢があり、明るく輝く印象
- 5分艶(約35%前後):程よい艶感で、落ち着いた仕上がり
- 3分艶(約15%前後):控えめな光沢で、マットに近い質感
- 艶消し(5%以下):ほぼ光を反射せず、落ち着いた雰囲気
艶の選び方によって外壁の見た目は大きく変わります。新築のような輝きを求めるなら艶あり、落ち着いた上品な雰囲気を好むなら艶なしがおすすめです。次の項目では、艶の5段階について具体的に解説します。
艶の5段階:種類と特徴
外壁塗装には、光沢の度合いによって大きく5つの種類に分類されます。それぞれの特徴を理解し、自宅のデザインや好みに合った艶を選びましょう。
艶あり(全艶)
特徴:最も光沢が強く、新築のような美しさが際立つ
艶あり塗料は、塗膜表面が滑らかで、光を反射しやすいため、ピカピカとした仕上がりになります。特に、日当たりの良い場所では光沢が際立ち、遠くから見ても綺麗な印象を与えます。
メリット
- 耐久性・耐候性が高い(汚れが付きにくく、紫外線の影響を受けにくい)
- 塗料の種類が豊富で、選択肢が多い
デメリット
- 光の加減によって眩しく感じることがある
- 外壁の凹凸が目立ちやすい(モルタル壁などには不向き)
艶あり塗装は、モダンなデザインの住宅や、メンテナンス頻度を減らしたい方におすすめです。
7分艶
特徴:艶ありと艶なしの中間で、適度な光沢がある
7分艶は、上品な輝きを残しつつ、強すぎない艶感が特徴です。外壁の表情を自然に見せつつ、清潔感も保ちたい方に適しています。
メリット
- 外壁の素材感を活かしつつ、耐久性を確保できる
- 新築のような美しさを適度に保つ
デメリット
- 艶ありほどの汚れ防止効果は期待できない
- 経年劣化で徐々に艶が落ちる
7分艶は、落ち着きと華やかさのバランスを取りたい方にぴったりの選択肢です。
5分艶(半艶)
特徴:艶が抑えられ、控えめながらも適度な光沢がある
5分艶(半艶)は、艶あり塗料の耐久性を活かしつつ、落ち着いた雰囲気を演出できる中間的な選択肢です。ツヤツヤしすぎず、適度に光を反射する仕上がりになります。
メリット
- 艶が主張しすぎず、どんな住宅にも馴染みやすい
- 外壁の凹凸や施工ムラも目立ちにくい
デメリット
- 経年変化で艶が徐々に減少する
- 濃い色の場合、艶の変化が目立ちやすい
5分艶は、新築時の輝きを程よく抑えたい方や、バランスの良い外観を求める方におすすめです。
3分艶
特徴:ほぼマットに近く、柔らかい印象を与える
3分艶は、光沢をほとんど感じさせない落ち着いた仕上がりです。和風住宅やナチュラルテイストの外観に馴染みやすく、上品な雰囲気を演出できます。
メリット
- 外壁の質感を自然に見せることができる
- 光の反射が少ないため、落ち着いた印象になる
デメリット
- 艶あり塗料に比べて汚れが付きやすい
- 塗料の選択肢が限られる
3分艶は、素材感を大切にしたデザイン住宅や、自然素材を多用した住宅に特に適しています。
艶消し(艶なし、マット)
特徴:ほとんど光を反射せず、落ち着いた高級感がある
艶消し塗料は、外壁の質感を最大限に活かし、マットな仕上がりになるのが特徴です。和風建築やモルタル外壁と相性が良く、落ち着いた雰囲気を演出できます。
メリット
- 光の反射を抑え、高級感のある仕上がりになる
- 経年劣化が目立ちにくい
デメリット
- 汚れが付きやすく、こまめなメンテナンスが必要
- 耐久性がやや低く、塗り替えの頻度が高くなる可能性がある
艶消しは、和風建築や伝統的な日本家屋、城下町や歴史的な街並みに調和する外観を求める場合に適しています。
外壁塗装、艶あり・艶なしを選ぶ前に知っておくべきこと

外壁塗装をする際、「艶あり」と「艶なし」のどちらを選ぶかは、仕上がりの印象や耐久性に大きく影響します。艶の違いによって外壁の雰囲気はもちろん、メンテナンスのしやすさや耐久性も変わるため、慎重に選ぶ必要があります。本章では、塗料の種類による艶の違いや、それぞれの塗料が持つ雰囲気について詳しく解説します。
塗料の種類によって艶の有無が決まる
外壁塗装の「艶」は、使用する塗料の種類によって決まります。塗料にはもともと艶があるものと、艶を抑えたものがあり、さらに艶調整剤を加えることで、光沢の度合いを変えることが可能です。
一般的に、以下のような分類ができます。
- 艶あり塗料:元々の塗料に艶があり、そのまま使用すると光沢が強くなる。
- 艶消し塗料:最初からマットな仕上がりを持つ塗料で、光をほとんど反射しない。
- 調整可能な塗料:艶の度合いを調整でき、7分艶・5分艶・3分艶などの選択が可能。
たとえば、シリコン塗料やフッ素塗料はもともと艶が強い傾向があり、耐久性の高さから多くの住宅で採用されています。一方、ウレタン塗料や一部のアクリル塗料は、艶を抑えた仕上がりも選択可能です。
また、艶消し塗料は一般的に防汚性能がやや低く、汚れが付着しやすいというデメリットがあります。しかし、最近では艶消しでも耐久性を高めた製品も登場しているため、用途に応じた選択が重要です。
艶あり・艶なし、それぞれの塗料が持つ雰囲気
外壁の艶は、建物全体の印象を大きく左右します。艶あり塗装は明るく輝くような印象を与え、艶なし塗装は落ち着いた高級感のある雰囲気を演出できます。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
艶あり:新築のような美しさ、明るい印象
艶あり塗装は、外壁に強い光沢を持たせ、新築のような美しい仕上がりを実現するのが特徴です。特に、日当たりの良い住宅では、光を反射して明るく輝く外観になります。
メリット
- 光沢があるため、外壁が新築のように美しく見える
- 汚れが付きにくく、雨で汚れが流れやすい(セルフクリーニング効果)
- 耐久性が高く、紫外線や雨風の影響を受けにくい
デメリット
- 光の反射が強すぎると、眩しく感じることがある
- 外壁の凹凸や傷が目立ちやすい
艶あり塗装は、モダンなデザインの住宅や、明るく清潔感のある仕上がりを求める方におすすめです。
具体例
例えば、白やアイボリー系の外壁に艶あり塗料を使用すると、光沢感が増し、遠くから見ても新築のような印象になります。シリコン塗料やフッ素塗料を選ぶことで、光沢を長期間維持できるため、美観を重視する方には適しています。
艶なし:落ち着いた雰囲気、高級感、和風住宅に最適
艶なし塗装は、光を反射しないため、落ち着いた雰囲気を演出できるのが特徴です。特に、和風建築やナチュラルテイストの住宅に適しており、周囲の景観に馴染みやすい仕上がりになります。
メリット
- 上品で落ち着いた印象を与える
- 光の反射が少なく、マットな質感が高級感を演出する
- 和風住宅やナチュラル系の外観デザインと相性が良い
デメリット
- 汚れが付きやすく、雨で流れにくい
- 艶あり塗料と比べると、耐久性がやや低い
艶なし塗装は、シックで上品な外観を求める方や、和風住宅を美しく仕上げたい方におすすめです。
具体例
たとえば、黒やダークブラウン系の外壁に艶消し塗料を使用すると、重厚感のある高級な雰囲気を演出できます。特に、和風建築や古民家のリノベーションでは、艶なし塗装がよく採用されます。
また、最近では「和モダン」のデザインが人気であり、外壁にマットな質感を持たせることで、洗練されたスタイルを作り出すことが可能です。
艶あり塗料のメリット・デメリット

艶あり塗料は、外壁に光沢を与え、美しさを長く保つことができる塗料です。耐久性や防汚性能に優れていますが、一方で光の反射が強すぎると眩しく感じたり、外壁のデザインによっては不自然に見えることもあります。ここでは、艶あり塗料のメリット・デメリットを詳しく解説します。
メリット
艶あり塗料には、耐久性の高さや汚れの付きにくさなど、多くのメリットがあります。特に、美観を長持ちさせたい方や、外壁のメンテナンス頻度を減らしたい方に適しています。それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
耐久性・耐候性に優れている
艶あり塗料は、耐久性・耐候性に優れているため、外壁の保護性能が高いのが特徴です。艶のある塗料には、水や汚れを弾く成分が多く含まれており、雨風や紫外線によるダメージを受けにくくなっています。
例えば、フッ素塗料やシリコン塗料は、艶のある状態が長持ちし、10年以上の耐久性を持つ製品も多いです。そのため、頻繁に塗り替える手間を減らし、長期間にわたって外壁を美しく保てます。
また、紫外線による色褪せを防ぐ効果もあるため、日当たりの良い場所でも塗装の劣化を抑えられます。メンテナンスコストを抑えたい方や、長期間美しさを保ちたい方には最適です。
汚れが付着しにくい
艶あり塗料は、汚れが付きにくいというメリットがあります。艶のある表面は滑らかで凹凸が少ないため、砂埃や雨だれなどの汚れが付着しにくく、雨水で自然に流れ落ちる「セルフクリーニング効果」も期待できます。
特に、都市部や幹線道路沿いなど、排気ガスやホコリが付きやすい環境では、艶あり塗料の防汚性能が役立ちます。定期的な水洗いだけで比較的きれいな状態を維持できるため、メンテナンスの手間が少なく済むのも大きな利点です。
塗料の種類が豊富
艶あり塗料は、種類が豊富で、選択肢が多いというメリットもあります。現在販売されている外壁塗料の多くは、基本的に艶あり仕様で提供されており、そこから艶を調整する形で仕上げられます。
例えば、以下のような塗料が艶ありで使用できます。
- シリコン塗料(耐久性が高く、コストパフォーマンスが良い)
- フッ素塗料(15年以上の耐久性を誇り、メンテナンス頻度を減らせる)
- ウレタン塗料(コストが低く、塗り替えがしやすい)
これらの塗料は、艶の度合いを調整できるため、「7分艶」「5分艶」など、好みに応じた仕上がりを選ぶことも可能です。
新築のような光沢感
艶あり塗料の最大の特徴は、新築のような光沢感を出せることです。外壁に艶を持たせることで、日光に反射して輝き、清潔感のある印象を与えます。
特に、ホワイトやベージュ系の外壁カラーに艶を加えると、より明るく華やかな雰囲気になります。遠くから見ても美しく、住宅の資産価値を高める効果も期待できます。
デメリット
一方で、艶あり塗料にはいくつかのデメリットもあります。光沢があるがゆえの問題点や、塗装後の経年変化についても考慮する必要があります。
艶は2~3年で消える
艶あり塗料の光沢は、塗装後2~3年程度で徐々に失われるという点に注意が必要です。特に、紫外線や雨風の影響を強く受ける場所では、光沢の劣化が早まることがあります。
例えば、新築時に艶あり塗料を選んだ場合、最初の数年はピカピカの状態を維持できますが、3年ほど経つと、半艶や艶なしに近い状態に変化してしまうことが多いです。そのため、「長期間、強い艶を保ちたい」という方には、高耐久なフッ素塗料や無機塗料がおすすめです。
外壁の種類によっては艶が目立ちすぎる
外壁の素材によっては、艶あり塗装が不自然に見える場合があります。特に、木目調や石材調の外壁に艶を加えると、本来の質感が失われ、人工的な印象になってしまうことがあります。
例えば、和風住宅やナチュラルな雰囲気のデザインでは、艶あり塗装よりも「3分艶」や「艶なし塗装」のほうが適しています。住宅のスタイルに合った艶を選ぶことが重要です。
安っぽく見える場合がある
艶あり塗料は、光の反射が強いため、場合によっては「安っぽく見えてしまう」こともあります。特に、強い艶があるとプラスチックのような光沢感になり、シックなデザインには合わないことがあります。
高級感を重視する場合は、「5分艶」や「3分艶」など、控えめな艶を選ぶとバランスが取りやすいでしょう。
光の加減で眩しく感じる
艶あり塗料は、日光が当たると強く反射するため、眩しく感じることがあります。特に、南向きの住宅や、日当たりの良い場所では、外壁が鏡のように光りすぎてしまうことも。
これを防ぐためには、「半艶」や「3分艶」などの調整をするか、艶あり塗料の中でも落ち着いたカラーを選ぶのがポイントです。
艶なし塗料のメリット・デメリット

艶なし塗料は、落ち着いたマットな仕上がりが特徴の塗料です。和風住宅やモルタル外壁との相性が良く、高級感のある印象を演出できます。一方で、汚れが付きやすかったり、艶あり塗料に比べて劣化が早いなどのデメリットもあります。ここからは、艶なし塗料のメリット・デメリットを詳しく解説します。
メリット
艶なし塗料には、上品で落ち着いた仕上がりや、建築スタイルとの調和の良さなど、多くのメリットがあります。特に、シックな外観を求める方におすすめです。それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
落ち着いたマットな仕上がり
艶なし塗料の最大の特徴は、マットな質感による落ち着いた仕上がりです。光を反射しにくいため、外壁が自然な風合いを保ち、周囲の景観に溶け込みやすくなります。
例えば、ベージュやグレーなどのナチュラルカラーを艶なしで仕上げると、シンプルで洗練された印象になります。特に、モダンなデザインや自然素材を生かした建築との相性が抜群です。派手さを抑え、上品で落ち着いた外観を求める方には最適な選択肢と言えます。
高級感のある印象
艶なし塗料は、シックで高級感のある仕上がりを演出できるのも魅力です。光沢がないことで、落ち着いた雰囲気を持ち、高級感のある外観に仕上がります。
例えば、高級住宅街に多いダークグレーやブラックの艶なし仕上げは、洗練された印象を与え、都会的な雰囲気を醸し出します。また、ホワイト系の艶なし仕上げも、上品でクラシックな印象を作り出せます。
高級感を重視する場合は、深みのある色合いを選ぶのがポイントです。暗めのカラーで艶を抑えると、シンプルながらも存在感のある仕上がりになります。
和風建築やモルタル外壁に最適
艶なし塗料は、和風建築やモルタル外壁との相性が非常に良いのが特徴です。
和風の住宅や町屋風の建物では、自然素材を生かしたデザインが多いため、光沢を抑えた塗装が適しています。特に、木目調の外壁や漆喰の壁と調和しやすく、和の趣を損なうことなく仕上げられます。
また、モルタル外壁に艶なし塗料を使うと、独特の質感を活かしつつ、シックで洗練された印象になります。近年、モルタル調の外観が人気を集めており、艶なし仕上げを選ぶことで、よりナチュラルでおしゃれな雰囲気を作ることができます。
経年による変化が少ない
艶なし塗料は、時間が経っても見た目の変化が少ないというメリットもあります。
艶あり塗料は、経年劣化によって光沢が薄れてしまうことがありますが、もともと艶がない塗料は、その変化が目立ちにくいのです。そのため、長期間にわたって安定した美観を維持しやすくなります。
特に、日当たりの良い場所や、紫外線の影響を受けやすい地域では、艶なし塗料のほうが均一な外観を保ちやすいです。外壁の劣化が気になりにくいため、ナチュラルな風合いを長く楽しむことができます。
デメリット
一方で、艶なし塗料には汚れが付きやすい、耐久性が低い、選択肢が少ないといったデメリットもあります。選ぶ際には、これらの点を理解した上で検討することが重要です。
汚れが付着しやすい
艶なし塗料は、表面がザラついているため、汚れが付きやすいという欠点があります。
光沢のある塗料は水や汚れを弾きやすいのに対し、艶なし塗料はホコリや雨だれ、カビが付着しやすく、特にホワイトやベージュ系の色は汚れが目立ちやすいです。
例えば、幹線道路沿いや工場地帯など、排気ガスや粉塵が多い環境では、汚れが付着しやすく、定期的な清掃が必要になります。そのため、防汚機能が強化された塗料を選ぶか、こまめなメンテナンスを心掛けると良いでしょう。
艶ありに比べて劣化が早い傾向がある
艶なし塗料は、艶あり塗料に比べると、耐久性がやや低い傾向があります。
特に、紫外線や雨風の影響を受けやすい環境では、塗膜の劣化が進みやすく、塗り替えの頻度が高くなることがあるため、長期的なメンテナンス計画が必要です。
対策としては、高耐久な無機塗料やフッ素塗料を選ぶことで、劣化を遅らせることが可能です。
塗料の種類が少ない
艶なし塗料は、艶あり塗料に比べて選択肢が少ないのもデメリットです。
現在販売されている外壁塗料の多くは艶あり仕様が基本で、そこから艶を調整する形で提供されています。そのため、艶なしのままで使用できる塗料は限られており、希望の色や機能を備えた艶なし塗料が見つからない場合もあります。
解決策としては、「3分艶」や「5分艶」など、完全な艶なしではない塗料を選ぶことで、選択肢を広げることができます。
色によっては地味に見える
艶なし塗料は、色によっては地味に見えてしまうことがあります。
特に、ベージュやグレーなどの控えめなカラーでは、艶がないことで全体的にくすんだ印象になることも。そのため、アクセントカラーを取り入れたり、外壁のデザインに変化をつけることで、単調な見た目を防ぐ工夫が必要です。
塗料の耐久性について

外壁塗装を選ぶ際に重要なのが塗料の耐久性です。特に、「艶あり塗料のほうが長持ちする」と聞いたことがある方も多いでしょう。これは、表面の特性や成分の違いにより、汚れにくさや耐候性が異なるためです。
一方で、艶なし塗料でも耐久性を確保する方法があります。ここでは、艶あり塗料が耐久性に優れている理由と、艶なし塗料の耐久性を高める方法について解説します。
艶あり塗料の方が耐久性が高いと言われる理由
艶あり塗料は、汚れが付きにくく、劣化しにくいという特長から、耐久性が高いとされています。これは、塗膜の表面構造や成分の違いによるものです。ここでは、艶あり塗料が耐久性に優れている主な理由を説明します。
表面が滑らかで汚れが溜まりにくい
艶あり塗料は、表面が滑らかで汚れが付きにくいという特性を持っています。これは、塗膜が緻密に形成され、外部の汚れや水分を弾きやすいためです。
例えば、雨水が外壁を流れる際、艶あり塗料の表面では水滴が滑るように流れ落ち、ホコリや排気ガスの汚れが付着しにくいのです。これに対し、艶なし塗料は表面がザラついているため、汚れが溜まりやすく、結果として劣化が早まることがあります。
特に、幹線道路沿いの住宅や工業地帯にある建物では、排気ガスや粉じんが付着しやすいため、艶あり塗料の方がメンテナンスの手間を減らせるでしょう。
艶消し塗料は添加剤で調整される場合がある
艶なし塗料は、塗料に添加剤を加えて艶を抑えている場合があるため、塗膜の耐久性が低下することがあります。
艶消し効果を出すために使用されるのは、微細な粒子を含んだ添加剤で、これが塗膜の表面を粗くすることで光を拡散し、艶を抑える仕組みになっています。しかし、この添加剤が多く含まれると、塗膜の強度が低下し、劣化しやすくなることがあります。
特に、紫外線や雨風の影響を受けると、艶あり塗料よりも早く色あせやチョーキング(白っぽく粉を吹く現象)が発生しやすくなるため、耐久性を求める場合は注意が必要です。
艶消しでも耐久性を確保する方法
艶消し塗料は、適切な選び方をすれば十分な耐久性を確保することが可能です。艶なしの風合いを活かしつつ、長持ちする外壁を実現する方法を紹介します。
元々艶消しとして販売されている塗料を選ぶ
艶なし塗料を選ぶ際には、後から艶を消す処理をしたものではなく、最初から艶なしとして設計された塗料を選ぶことが重要です。
一部の塗料は、艶あり塗料に添加剤を加えて艶を抑えていますが、最初から艶なし塗料として開発された製品は、塗膜の強度を維持しながら艶消し効果を実現しています。
高グレードの塗料を選ぶ
艶なし塗料の耐久性を高めるもう一つの方法は、グレードの高い塗料を選ぶことです。
一般的に、塗料のグレードはアクリル<ウレタン<シリコン<フッ素<無機の順で高くなり、耐久年数も伸びていきます。艶なし塗料を選ぶ場合でも、シリコン以上のグレードのものを選ぶことで、塗膜の劣化を抑え、耐久性を確保できます。
外壁塗装で艶を調整する方法と注意点

外壁塗装の仕上がりを左右する重要な要素として「艶」の調整があります。「この部分だけ艶を抑えたい」「標準的な艶よりも少し控えめにしたい」といった細かな要望に応えるため、現場で艶を調整することがありますが、これには多くのリスクが伴います。
ここでは現場での艶調整の問題点と、理想の仕上がりを得るための艶調整塗料の選び方について詳しく解説します。
現場での艶調整はおすすめできない
外壁塗装の現場で「もう少し艶を落としたい」と考えて、塗料に添加剤を混ぜたり、希釈率を調整したりする方法を取ることがあります。しかし、この方法は仕上がりにムラが出やすく、補修が難しくなるため、おすすめできません。
ムラになるリスクがある
塗装の艶は、塗料の成分や塗り方によって決まるため、現場での調整は非常に難しいのが現実です。特に、手作業で艶を落とそうとすると、仕上がりにムラが出やすくなります。
例えば、艶を抑えるために水やシンナーを多く加えると、塗料が均一に伸びず、部分的にツヤツヤした箇所とマットな箇所が混在する可能性があります。また、天候や気温によっても塗料の乾燥速度が変わり、同じ配合でも塗るタイミングによって艶の度合いが異なることがあります。
特に、広い面積を塗る場合は、わずかな違いが大きく目立つため、仕上がりの美しさを重視するなら、最初から艶の調整が施された塗料を使用することが重要です。
補修がしにくい
艶を現場で調整すると、後から部分補修をする際に、元の塗装と同じ艶を再現するのが難しくなるという問題もあります。
例えば、外壁の一部が傷んだ場合、その部分だけを補修することがありますが、元の塗膜と艶のバランスが合わず、補修跡が目立ってしまうことがあります。特に、艶ありと艶なしの中間のような仕上がりを目指した場合、微妙な差が生じやすいため、部分的な塗り直しが難しくなります。
また、艶の調整を現場で行うと、メーカーが推奨する塗料の配合比率から外れてしまうため、耐久性や防汚性が低下する可能性もあります。長持ちする塗装を求めるなら、メーカー指定の配合で作られた艶調整塗料を使用するのが最適です。
艶調整塗料を選ぶ際の注意点
艶の度合いを調整したい場合は、あらかじめメーカーが設定した艶調整塗料を選ぶことが重要です。しかし、塗料によっては艶ムラが出やすかったり、施工が難しかったりするものもあるため、選び方に注意が必要です。
艶ムラ、塗りムラが出にくいか確認する
艶調整塗料を選ぶ際は、塗装後に艶ムラが出にくいかどうかを確認することが大切です。
例えば、メーカーによっては「3分艶」「5分艶」など、艶の程度を細かく調整した塗料を販売しており、均一な仕上がりになるよう設計されています。このような塗料を選べば、現場で無理に調整する必要がなく、美しく仕上げることができます。
また、塗料の種類によっても艶ムラの出やすさが異なります。シリコン塗料やフッ素塗料など、高耐久の塗料は塗膜がしっかり形成されるため、艶ムラが出にくい傾向があります。一方、低グレードの塗料は均一に塗るのが難しく、艶ムラが出やすいことがあるため注意が必要です。
塗料を選ぶ際のチェックポイント
- 「3分艶」「5分艶」など、艶の度合いが明確に設定されているか
- 高グレードの塗料(シリコン・フッ素・無機塗料など)であるか
- 実際の施工例を確認し、ムラが出にくい塗料かどうかを調べる
これらのポイントを押さえて選べば、理想的な艶感を持ちながら、ムラのない美しい仕上がりを実現できます。
実績のある業者に依頼する
艶調整塗料を使う場合は、施工実績の豊富な業者に依頼することが成功のカギとなります。
塗料の艶は、塗り方によっても変わるため、経験の少ない業者が施工すると、仕上がりにムラが出たり、塗り直しが必要になったりするリスクがあります。
特に、艶消しや3分艶などの微妙な艶感を希望する場合、施工経験が豊富な業者でないと、思った通りの仕上がりにならないことがあります。そのため、以下の点をチェックして業者を選びましょう。
信頼できる業者選びのポイント
- 艶調整塗料の施工実績が豊富か
- 過去の施工事例を見せてもらえるか
- 艶の仕上がりについて具体的な説明をしてくれるか
実際に施工した住宅の写真を見せてもらうと、仕上がりのイメージがつきやすくなります。また、「この塗料を使えばどんな艶感になるか」について、具体的に説明してくれる業者なら安心して任せられるでしょう。
まとめ
外壁塗装における「艶あり・艶なし」の選択は、単なる見た目の違いだけでなく、耐久性やメンテナンス性にも影響を与える重要なポイントです。艶あり塗料は耐久性が高く汚れがつきにくい一方で、光の反射が強くテカリが気になることもあります。逆に艶なし塗料は落ち着いた上品な仕上がりになりますが、汚れが目立ちやすく、耐久性の面ではやや劣る傾向があります。そのため、住まいの雰囲気やライフスタイルに合った塗料を選ぶことが大切です。
また、塗料のグレードや施工方法によっても仕上がりは大きく変わります。信頼できる業者に相談しながら、自分の理想とする外観や機能性をしっかり考慮した上で選びましょう。外壁塗装は、住まいの美観を保つだけでなく、建物を長持ちさせるための大切なメンテナンスでもあります。納得のいく選択をすることで、後悔のない理想の住まいを実現できます。
株式会社YU-SHINは、塗装に関連した様々な事業を展開しております。
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