せっかく建てたマイホームなのに、外壁に気になるサビを発見してがっかりした経験はありませんか?
美しい外観を損なうだけでなく、建物の寿命にも影響を与える可能性があるサビは、多くの住宅オーナーの悩みの種です。
一体なぜ外壁にサビが発生してしまうのか、そして、放置するとどのような問題が起こるのか。
この記事では、外壁のサビの原因から、その対策までを詳しく解説します。
ご自宅の外壁に少しでも気になる点がある方は、ぜひご一読ください。
目次
サビの発生メカニズムと腐食の関係
私たちは、外壁をはじめとした様々な場所でサビを見かけますが、その発生原因について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
サビは、金属が空気中の酸素や水と反応し、酸化することで生じる現象です。例えば、鉄の場合、赤サビと呼ばれる水和酸化鉄に変化します。
サビと腐食の深い関係
サビができる原因は、金属の腐食と密接な関係にあります。
腐食とは、金属が化学反応を起こし、その形状や機能が損なわれることを指します。サビは、この腐食が進行した結果生じる酸化物の一種です。
サビが発生するメカニズムを、鉄を例に見てみましょう。
鉄は、乾燥した空気中では安定な状態を保っていますが、水に触れると表面に水分が吸着し、空気中の酸素と反応します。
この反応により、鉄は電子を失ってイオン化し、水酸化鉄イオンと結合して水酸化鉄となります。
その後、水分が失われることで、最終的に酸化鉄であるサビへと変化します。
サビが発生しやすい要因
サビが発生しやすい要因としては、水と酸素の存在、そして金属の電気伝導率が挙げられます。
湿度が高く、水に濡れやすい環境では、サビが発生しやすくなります。また、電気伝導率が高い金属は、電子が移動しやすいため、腐食が進行しやすく、サビが発生しやすい傾向にあります。
外壁にサビが発生する原因
外壁材に金属を使用しているとサビが発生しやすいのは理解できますが、金属以外の外壁材であるモルタルなどを使用していても、サビが発生する場合があります。
というのも、サビは金属が酸化することで発生するものですが、外壁材の種類のほか、周囲の環境などでも発生する可能性があるのです。
ここでは、外壁に発生するサビの原因について具体的に解説していきます。
鉄部に水分が付着
新しく塗装された外壁は、塗料の防水効果によりサビが発生しにくい状態が維持されています。
しかし、時間の経過とともに防水効果は弱まり、雨が外壁に染み込みやすくなります。こうして鉄部に水が到達すると、鉄は酸化してサビが発生しやすくなってしまいます。
また、サビが発生している部分に雨水が付着してしまうと、雨水と共にサビも広がってしまう可能性があります。
さらに、屋根やバルコニーなど屋外にある鉄部に発生したサビが、雨によって流れ出し、外壁に付着することもあります。
建物内部に水分が浸入
外壁のひび割れなどから建物内部に水分が浸入し、構造材である鉄筋やラス鋼といった金属部分が湿気ると、サビが発生するケースがあります。
特に、鉄筋コンクリート造の建物では、鉄筋のサビによる体積増加がコンクリートのひび割れや剥落を招き、建物の構造強度を低下させる恐れがあるため注意が必要です。
また、サビが外壁の表面に現れることで、美観を損ねたり、さらなる劣化を促進させることもあります。
金属製の外壁材
金属製の外壁材、特に近年人気の金属サイディングは、その高い断熱性やモダンな外観から多く採用されています。
しかし、アルミや亜鉛でコーティングされたガルバリウム鋼板を使用しているため、経年劣化や傷によってコーティングが剥がれ、鉄部分が露出することでサビが発生しやすいという弱点も持ち合わせています。
金属サイディングに限らず、トタンなどの金属製の外壁材も、経年劣化によりサビが発生する可能性があります。
サビを防ぐためにコーティングが施されていますが、時間の経過とともにコーティングが剥がれ、下の鉄がむき出しになると、そこからサビが発生し、外壁の劣化を早めてしまいます。
もらいサビ
もらいサビとは、他の金属製品に発生したサビが、雨風によって外壁に付着し、あたかも外壁自体が錆びたように見える現象です。
金属製の外壁だけでなく、窯業系サイディングやモルタルなど、金属を含まない外壁にも発生します。
自転車、照明、脚立、ホース、スコップなど、外壁の近くに置かれている金属製のものがサビの原因となることが多く、これらの製品から剥がれ落ちたサビや鉄粉が、雨水によって外壁に運ばれて付着します。
もらいサビは、外壁の素材を問わず発生し、一度発生するとサビの進行が非常に早いという特徴があります。
そのため、外壁の美観を損なうだけでなく、建物の耐久性を低下させる原因にもなりかねません。
施工不良
外壁塗装後に早期にサビが発生した場合、施工不良が疑われます。
一般的に、外壁塗装は3度塗りで仕上げるのが一般的で、適切な下地処理や防錆処理が行われれば、長期間にわたって外壁を保護することができます。
しかし、手抜き工事によって、これらの工程が省略されたり、不十分な状態で行われたりすると、早期にサビが発生する原因となります。
具体的には、以下の様な手抜き工事が考えられます。
- 塗装回数の不足:3度塗りが原則ですが、1度塗りや2度塗りで済ませる場合。
- 下地処理の不足:塗装前の下地処理が不十分な場合。
- 防錆剤の未塗布:鉄部に防錆剤を塗布していない場合。
- ケレン作業の不徹底:サビ落としが不十分な場合。
これらの手抜き工事は、塗料の耐久性を低下させ、早期のサビ発生を招きます。
また、施工業者の経験不足や、業者の指示に従わない職人の作業によっても、施工不良が起こる可能性があります。
外壁塗装後にサビが発生した場合、まずは施工業者に相談し、再修繕の可能性について検討することが重要です。契約内容や保証期間を確認し、適切な対応を求めましょう。
外壁に発生するサビの種類と特徴
外壁に発生するサビは、その種類によって発生原因、場所、特徴が異なります。
赤サビ
外壁に発生するサビの中でも、最も一般的なのが赤サビです。
赤茶色をしたこのサビは、鉄や銅などの金属が空気中の酸素と水に触れることで発生します。
一度発生すると、急速に広がり、金属を内部から侵食していくため、放置すると構造物の強度低下や穴あきといった深刻な問題を引き起こす可能性があります。
赤サビが発生しやすい場所は、外壁だけでなく、屋根、雨樋、フェンスなど、屋外に設置された鉄製品全般です。
特に、海沿いの地域では塩分を含んだ空気によって赤サビが発生しやすく、より注意が必要です。
赤サビは、放置すると金属を非常に脆くするため、早期発見と適切な処置が重要です。
定期的な点検を行い、サビを発見したら、専用の洗剤やブラシを使用して除去するか、専門業者に相談しましょう。
白サビ
白サビは、アルミニウムや亜鉛などの金属、特に亜鉛メッキされた製品に発生するサビの一種です。
チョークの粉のような白色や淡褐色の粉末状で、赤サビとは異なり、鉄ではなく亜鉛が酸化することで生じます。
赤サビが金属を内部から侵食し、構造を弱めるのに対し、白サビは金属の表面に付着し、酸化膜を形成することで、内部の金属を保護する働きも持ち合わせています。
そのため、腐食の進行は赤サビほど速くはありませんが、放置しておくと、見た目が悪くなるだけでなく、金属の強度低下や機能低下につながる可能性があります。
白サビが発生する原因としては、強酸性物質、有機酸、食塩、水などが金属表面に付着することが挙げられます。
特に、海沿いの地域や工業地帯など、塩分や化学物質の影響を受けやすい環境では、白サビが発生しやすい傾向にあります。
黒サビ
黒サビは、鉄や銀などの金属表面に人工的に生成される酸化被膜の一種です。
自然発生することはなく、金属を高温で加熱したり、メッキ処理を施すなど、特別な処理を行うことで形成されます。
黒サビの主成分は酸化鉄であり、赤サビと同様に鉄の酸化物ですが、その生成過程や性質が大きく異なります。
赤サビがもろく、金属を内部から侵食していくのに対し、黒サビは非常に硬く、金属表面に密着した緻密な層を形成します。
このため、黒サビは金属を外部環境から保護し、赤サビによる腐食を効果的に防ぐ役割を果たします。
黒サビは、その見た目が染め物のように黒く光沢があることから、「黒染め」とも呼ばれます。
中華鍋の表面が黒いのも、この黒サビによるものです。黒サビは、金属製品の耐久性を高め、美観を向上させる効果もあるため、様々な分野で活用されています。
青サビ(緑青)
青サビは、真鍮(しんちゅう)や銅などの金属表面に水分が触れることで発生する、緑青色の酸化被膜です。
この青サビは、赤サビや白サビとは異なり、金属を保護する働きを持つため、「良いサビ」と呼ばれることがあります。
青サビは、金属の表面に密着した緻密な膜を形成し、内部の金属を空気や水分から遮断することで、腐食を遅らせる働きがあります。
さらに、抗菌作用も持つため、衛生面でも優れています。そのため、建物給水設備など、衛生面が求められる場所でも、銅管が広く使用されています。
外壁のサビを放置するリスク
外壁のサビは、放置すると建物の寿命を縮め、大きなトラブルに繋がる可能性があります。
サビの進行と被害
サビは、放置すると時間の経過とともに進行し、その範囲が広がっていきます。
初期の段階では、表面的なサビ汚れが目立つ程度かもしれませんが、次第に外壁材を腐食させ、穴が開いてしまうこともあります。
穴から雨水が侵入すると、建物の内部構造まで損傷し、柱や梁といった躯体へのダメージに繋がる恐れがあります。
放置によるリスク
- サビの拡大
サビは放置すると、雨水などで広がり、サビの範囲が拡大します。 - 外壁の腐食と穴あき
サビが進行すると、外壁材が腐食し、穴が開く可能性があります。穴が開くと、雨水が建物内部に侵入し、構造躯体や断熱材にダメージを与えることがあります。 - 大規模な修繕工事
サビが進行すると、部分的な補修では対応できなくなり、外壁の張り替えなど、大規模な修繕工事が必要になる場合があります。これには多額の費用がかかり、住居の価値を低下させる原因にもなります。 - 構造躯体の損傷
雨水が侵入することで、柱や梁などの構造躯体にまでダメージが及ぶ可能性があります。これは、建物の強度を低下させ、安全性を損なうことにつながります。
なぜサビを放置してはいけないのか?
新築時には防腐剤を含む塗装によって防水機能が施されていますが、時間の経過とともに塗装は劣化し、外壁に水分が浸入しやすくなります。
特に、壁のひび割れ部分や塗装が剥がれている箇所は、サビが発生しやすい場所です。
一度発生したサビは、内部に深く浸透し、表面のサビを取り除いても、内部のサビは進行し続けます。
外壁のサビを自分で落とす方法
外壁にできたサビ、放置しておくと建物に悪影響を及ぼす可能性があるため、早めの対処が大切です。しかし、「自分でできるかな?」「業者に頼むのは費用がかかるし…」と悩む方も多いでしょう。
ここでは、自分で対処できるケースと、業者に依頼すべきケースについて詳しく解説します。
自分で対処できるケース
- サビが表面に限定されている場合
サビ専用の洗剤や高圧洗浄機を使って、自分で落とすことができます。ただし、高所での作業は危険なので避け、手が届く範囲の軽度のサビに限るようにしましょう。 - もらいサビの場合
サビの原因となっている箇所を見つけ、そこを重点的に清掃することで、外壁のサビも改善されることがあります。
自分でできるサビの簡単な落とし方
- 高圧洗浄
高圧洗浄機を使用することで、表面のサビを落とすことができます。ただし、高圧洗浄機は強力な水圧で外壁を傷つける可能性もあるため、注意が必要です。 - サビ落とし剤
サビ専用の洗剤を使用することで、より効果的にサビを落とすことができます。 - ブラシやスポンジ
柔らかいブラシやスポンジを使用して、優しくこすり落とします。
業者に依頼すべきケース
- サビが深く進行している場合
サビが金属内部にまで達している場合、自分で落とすのは困難です。専門業者に依頼し、ケレン作業など適切な処置を行ってもらう必要があります。 - 高所での作業が必要な場合
2階以上の外壁のサビは、高所作業が必要となり危険です。専門業者に依頼しましょう。 - サビの原因が特定できない場合
サビの原因がわからない場合は、専門業者に診断してもらうことをおすすめします。
外壁のサビを予防する方法
外壁のサビは、建物の寿命を縮め、見た目を損なう原因となります。
サビの発生を防ぎ、美しい外観を長く保つためには、適切な予防策を講じることが大切です。
サビを予防するための具体的な方法
- 定期的な点検
外壁の状態を定期的に点検し、サビの発生を早期に発見することが大切です。 - 塗装のメンテナンス
塗装は、外壁を保護する重要な役割を果たします。定期的に塗装を塗り替えることで、サビの発生を予防できます。 - 排水溝の清掃
排水溝にゴミが詰まると、水が滞留し、サビが発生しやすくなります。 - 金属製品の管理
建物の近くに金属製品を置く場合は、サビが発生しにくい素材を選ぶか、定期的に塗装を行うなど、適切な管理を行いましょう。 - サビ止め塗料の塗布
新築時やリフォーム時に、金属部分にサビ止め塗料を塗布することで、サビの発生を予防できます。
まとめ
外壁のサビは、放置すると建物の寿命を縮め、思わぬ出費に繋がる可能性があります。
この記事では、サビの原因や予防策、そして自分でできる簡単な対処法など、外壁のサビに関する様々な情報を解説しました。
ご自宅の外壁の状態を今一度見直し、適切な対策を講じることで、より長く快適な暮らしを送ることができます。
定期的な点検とメンテナンスを習慣化し、美しい住まいを長く保ちましょう。
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